保険営業の原点「三方良し」は不滅の経営理念

57歳の新人・鈴木啓司
2011.6.28
こんにちは。
i-support代表、株式会社アイブリッジ顧問の鈴木啓司です。
今回は、私にとって保険営業の原点となった、近江商人の経営哲学の代表とも言える「三方良し」を、中でも「社会の一員意識」が仕事を好転するについてお伝えします。
近江商人を起源とする老舗企業は高島屋・大丸・丸紅・伊藤忠・東レ・日本生命・ワコール・武田薬品など日本を代表する企業が数多く存在します。
明治維新をはじめ、世界大戦、世界不況など、幾多の激動期を乗り越えてきた近江商人の経営哲学から、現在の低迷・不況を乗り越えようとする我々が学ぶことは多々あります。
近江商人の経営哲学と言えば「三方良し」。
「三方良し」とは「売手良し、買手良し、世間良し」のことを言い表したものです。
原典となるのが、江戸時代中期の近江商人である中村治兵衛が孫に遺した「書置」です。
以下、財団法人滋賀県産業支援プラザホームページ掲載より引用します。
~ここから~
この中に 「三方よし」の文字は存在しませんが、「たとえ他国へ行商に参り候ても、この商内物、この国の人一切の人々、心よく着申され候ようにと、自分のことに思わず、皆人よき様にと思い」とあり、「自分のことよりもお客のことを考え、行き先の人のことを大切にして商売をする」という近江商人の商道徳の真髄が示されています。
~ここまで~
「三方良し」こそ、300年語り伝えられた不滅の経営理念であり、現在でも立派に通用する、ステークホルダーに共感される経営理念です。
同志社大学経済学部・末永國紀教授の「三方よし」と現代企業によると、
~これより~
日本全国を市場として、広域に活動した近江商人は、売買当事者だけにとっての好都合な取引のみでは満足せず、取引の背後に第三者の眼、すなわち周囲や、地域の人々のことを絶えず視野に入れていた。
社会の一員として商売を行い、取引に従事しているという意識である。
そうした社会の一員意識をもたなければ、商人としての立身も、外来商人としての永続的な存続も繁栄もありえないことを、長い持下り商いを通じて習得していたからである。
「三方よし」の精神は、良き企業市民を目指す現代企業にとって示唆するところ大である。
企業はたしかに営利を目的とした結社である。
しかし、良識ある企業にとって自己の営利のみをがむしゃらに目指すことは、現代では低水準の目標であり、社員の士気も揚がらず、社会的にももはや許容されないであろう。
誰しも、扱っている商品が皆の役に立ち、悦ばれ、自分の営業活動が社会を益しているという信念をもつことができたときに、はじめて企業の一員として参加している積極的な意義を感じ取ることができるものである。
これを逆にいえば、企業活動を自省して、社会的意義のあることをしているのか、商品や会社がなくなれば困惑する人の有無はどうかといった、企業の存在意義に対するアンテナを絶えず張りめぐらし、社会との緊張関係を維持することが必要であるということになろう。
社会のなかの一員という意識を忘れ、私利の追求のみに走った結果、やがて破綻(はたん)にいたることはこれまでにも枚挙に暇(いとま)がないからである。
~これまで~(財団法人滋賀県産業支援プラザホームページ掲載より)
この末永教授の解説によって「三方良し」の精神の理解を深めることができました。
理解を深めただけでなく、さらに、私が強く印象づけられた言葉があります。
それは「社会の一員意識」です。
私は前職で、「営業社員とお客さまの関係だけでなく、人間と人間の関係でなければならない」と、自分自身の体験から社員・代理店さんにお伝えしていました。
それは新人時代の体験から得たものです。
私にとって、会社員としてはじめての勤務地が、東北・福島の会津若松でした。
当時の私は、新人でまだ若く、「三方良し」を深く考えず、そのまま理解し、「世間良し」を仕事を通して会津若松の役に立つことと考えていました。
赴任の挨拶回りの後、改めて、一人で挨拶をしていたときに、私が大学時代テニスをやっていたことを知った地元の銀行員の先輩から、自分が主催しているテニス倶楽部に入会しないかと誘われ、「はい。よろしくお願いします。」と入会しました。
テニス倶楽部に入会したことで、仕事の縁がない地元の方々との交流がはじまり、1年も経たず、よそ者ではなく仲間として扱われるようになり、頼みもしないのに仕事を回してくれたり、仕事を紹介してくれるようになりました。
テニス倶楽部の関係でスポーツ店の社長とも親しくなり、社長が主催するスキー倶楽部に誘われ、スキー倶楽部でも仕事と縁のない多くの仲間ができ、ここでも、仕事を勝手に紹介してくれたのです。
夜は夜で、ある代理店さんに誘われ、地元経営者がメンバーの「無尽」に参加。
一度に仕事と縁の無い多くの地元経営者と親しく交流することになり、月一度のお付き合いを重ねただけで、2年目には大口の取引先となってくれた経営者がでてきたのですから驚きました。
このような仕事と縁の無い地元の方との付き合いで仲間に迎えられたことによって、取引先になってくれたり紹介してもらえたことも嬉しいことでした。
しかし、より以上の収穫は地元の人々の生の気質や慣習に触れられたことと、会社では掴んでいない人脈や系列の裏情報を知ることができたことでした。
こうして、仕事と縁の無い関係で得た気質や慣習・人脈や裏情報を仕事に活かすことができ、「売手良し、買手良し」の方も「社員と代理店、社員と取引先」の関係から「人間と人間」になり、入社2年目から成績はうなぎ登りとなって地域シェアー1位という快挙を達成してしまいました。
赴任後、幸運な誘いに乗り、仕事とは縁の無い地元の方々と「人間と人間」としての関係を仕事と同様に築いていったことが幸運をもたらしたのです。
その後、どこに転勤しても、仕事とは縁の無い関係作りを大切にし、仕事に活かすことで業績を伸ばすことができました。
仕事と縁の無い関係作りで心がけたことは、仕事と同様に「売手良し、買手良し」の精神です。
「売手良し、買手良し」だけでなく、末永教授が示された「社会の一員意識」を無意識に、自分のできる方法で実践したことが、無能の私を順調に営業部長まで引き上げた要因です。
今、経験を積み「三方良し」の精神を深く知るにつれ、現在における「世間良し」とは一体何なのだろうと改めて考えさせられます。
大きなところでは企業の社会的責任であり、地球温暖化などの環境問題・コンプライアンスの法令順守などは「世間良し」です。
小さな私の体験も参考に、あなたにとっての「世間良し」を「社会の一員意識」とはを重点に、真剣に考えてみる価値はあります。
そして、「三方良し」は現在でも立派に通じる経営理念です。
経営の魂とも言える経営理念に、「三方良し」の精神を取り入れてみませんか。
長くなりました。
今回はここまでとします。
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本日の気付き:
「三方良し」は300年生き続けた現在でも通じる優れた経営理念。
社会の一員意識を発揮することで事業は好転する。